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Suite Sweet Suite

キミが鍵を開けたから、最後の部屋が とびきりSWEETなスイートになった
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この灯りが消えるまで


子どもの頃暮らしていた施設にて、
マッチ売りの少女の本を読んで
みんなで不思議に思ったことがありました。

それは単純な、子どもっぽい疑問です。

「どうしてマッチ売りの少女は、
 知らないものを夢見ることができたの?」

彼女が擦るマッチの炎の中には
すごいご馳走や、大きな暖炉や
キラキラのクリスマスツリーが浮かんでいました。
 

「この子は昔、お金持ちの家の子だったんじゃないかなあ」

1人がそう言いました。

そう思ってしまうのも無理ないくらい
その頃の私たちは、食べたいものを思い浮かべても
冷たくない納豆ご飯、とか
カリカリに焼いたシャケ、とか
そういうものしか出てこなかったのです。

大人になった今でも、最後の晩餐には
何が食べたいかと聞かれたら、
食べたことのない満漢全席とかよりも
自分が今まで食べた中で一番好きなものが
出てくると思うのですが・・・
どうなんでしょう?

とにかく、子どもの私たちには
貧しい少女がご馳走を思い浮かべられることが
不思議でならなかったのでした。



     **********



けれどもその頃の私たちは
実は同じことをしていました。

夜になるとみんな、豆電球の灯りの中に
一生懸命思い浮かべていたのは
あたたかい家庭や、優しい両親、
そして誰かに思い切り愛されること。

それを知らない子しかいなかったわけではないけれど
圧倒的多数だったことは確かで、
知らないのに、経験していないのに
無意識の中ですら一心に夢見ていました。


私ももちろん夢見ていました。
あたたかい家庭を夢見たこともあったし
ませているかもしれないけれど、
まだ見ぬ誰かと愛し合うことも。


自分が心から愛せるひとと出会い、
そのひとにも心から愛されるということ。
奇跡のようなそのことを、
いずれ来るのかどうか不安に思いながらも
一生懸命夢に見ていました。



それから私は大人になり、何度か恋を繰り返し
そしてカカオに出会いました。

豆電球に灯し続けていた夢の
その中にいるようなこの幸福は
決して当たり前のことではない、と思います。


愛を知らなかった私の夢、想像は
時に現実とは隔たりがあるけれど
それでも私なりに一生懸命、
願い、努力し続けたい。



少女の擦ったマッチにも、
最後は大好きだったおばあさんが出てきて
そのあたたかさは、ある意味現実になります。


私も何とか生きてきて、歳を重ねた今
カカオと出会えたことに深く感謝し
この灯が消えるまで、一緒にいたいと願うのでした。



シロップ

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※「マッチ売りの少女」
版によっては、マッチを擦った時見えたものは
うずくまっていた家の中が透けたものであり
少女の想像ではないという説がありますが、
ここでは私の記憶している絵本の描写を
もとにして書いています。





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